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ささやかな散歩 [現代詩]

青りんごⅰ.jpg
ささやかな散歩

長い階段を降りると
犬と散歩の紳士が
ソフトクリーム片手に
にこやかに歩いている

ほんのつかの間
やわやかな風景

ため息を落とした
空洞から
やわらかい心を
取り戻してくれる

小鳥が前を飛んで驚かせ
雨の日は傘と雨粒の音色
月光の下で猫と目が合う
探せば道のなかに
優しい風景が落ちている

ささやかな散歩が
凸凹の日常を
さらさらの更地に
もどされてゆく





最近読んだ本:西瓜糖の日々 R.ブローティガン 河出書房新社

先日、子どもの本の森へ。写真は、巨大青りんごの中に都市が入り込んだ!
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歌の続き [現代詩]

歌の続き

歌の続きが思い出せなくて
眠れないもどかしい夜
言葉に沈む
記憶を手繰り寄せ
過去の箱庭を歩いていると
椋鳥がさっと走って逃げ
ポストに詰まった手紙に驚き
木の枝に眠る小鳥を数える

いつの間にか
他愛のない想いに
ふふと笑って
森の木に登り寝床を作り
夜空の星を数えると
しまいにはぐっすり眠っていた

目醒めると
でたらめなハナウタから
歌の続きが耳の片隅から発見され
新しい記憶の森と手をつなぐ





最近読んだ本:ぼくはイエローでホワイトでちょっとブルー ブレイディみかこ 新潮社
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雨とアスファルト [現代詩]

雨とアスファルト

雨がアスファルトを濡らしていた
通り雨にしては長い雨
自転車を走らせあっという間に
ずぶ濡れになった
こんな状態になりはじめて気づいた

瞬く間にやんだ雨の
鏡と化したアスファルトが
街並みを映し出し
みずみずしい街が現れたのだ
自転車で別世界を
走り抜けているようだった

自転車から見る雨の小宇宙
みずから水しぶきごと浸かり
あらゆる彼方へ
行ける気がした

雲たち 2.jpg








※最近読んだ本:ヤマザキマリ対談集 集英社  ・魔力の胎動 東野圭吾 角川文庫  ・ラプラスの魔女 東野圭吾 角川文庫  ・愛なき世界 三浦しをん 中央公論新社
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あかるい眠り [現代詩]

鳥雲?.jpg
あかるい眠り

からだのなかの
雨はやみましたが
モールス信号のように
電気スタンドのあかりを
点けたり消したり
助けを呼んでいたけど
もうやめます

星がぶつかり流星になったような
淡い眠りが幾度か訪れて瞼を落とし
闇を忘れさせようとしますから

やわらかい睡眠をまるめると
すうっと溶けて月の光
夢のひたいを
歩いてあるいてゆきました







※ラインスタンプを3つ作りました。よかったら見て下さい。uzanao の クリエイターズで検索すると、出てきます。

ちぎりパン.jpg
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モリオのトランク [物語詩]

2018年8月の天の川.jpg
モリオのトランク

モリオのトランクには
音符がぎっしりと詰まっている
♪ハミングがあふれてる

奏でる音楽を耳にすると
心が自然に動きだす

カチリカチャリ
モリオは大きなトランクを開けて
音符を並べる
アコーディオンの軽やかな音の階段
リコーダーのヒューと鳴る穴ぽこの音階
オカリナのころんとした音色
今日はどんな音楽を奏でようか

太陽のまぶしい光も
月夜の静けさも
雨模様の冷たさも
森林さえずる鳥の喜びも
可愛い音楽
儚い音色
潤う音楽で表現できるのだ

―あっ、来た!
―モリオだ!
昔の紙芝居に集まるみたいに

モリオはトランクを開けて
♪音符を空へ羽ばたかせる

乾いた日々を
ぽわん
のどをうるおすように




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大雨 [現代詩]

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大雨

本が読めなくなってしまった
読んでも頭に入ってこない
文字を追っても読み方を忘れたように
外は大雨大量に泣いている
私の涸れた心の代わりに

夢の中では生きてる
いなくなっても笑ってる
レム睡眠では自然なことのように

空へ追いかけてゆきたいが
神様はまだと云う
本の中にうずもれて
時間を紛らしたいのに
雨に濡れて熱を出せば
時間を飛び超えられるだろうか

大雨が小雨に変わった
胸にあるものを吐き出し
小さい部屋の片隅で
言葉を綴る雨の散歩を






※ほんの少し時間を取り戻し、短編は読めるようになった。100文字SFという小説を見つけた。フジモトマサルさんの仕事の本にも出合い、和ませてもらっている。


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風がくるり [現代詩]

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風がくるりと
池の水をかき混ぜ
きらきら
光りはささやき
水の波を描く

水鳥も一瞬
目を細める

まぶしい自然に
身を任せると
木々や鳥たちが
ゆっくりと
寄り添ってきた

心の羽を広げ
自然と一体になる


最近読んだ本:逆ソクラテス 伊坂幸太郎 集英社 ・あひる 今村夏子 角川文庫                        ・美術館や図書館やカフェへ、見えない菌を気にせず行ける日が、一刻も早く訪れますように。
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ファンタジーの行方 [物語詩]

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ファンタジーの行方

ドアの壊れた路地裏の本屋
書店員が駆けて来て
朝から機嫌が悪いんですと
一緒にガラス扉を開ける
店員は夢を食べるバクに似ていた

本棚の奥にはカフェがあり
北極語が聞こえてきた
シロクマと密談中のペンギン紳士
細長い水槽で泳ぐ魚たちが読書
窓の外には咲く花と蕾がお散歩
両手を天高く広げ
ヒョイと空飛ぶ子供たち

いつから
ファンタジーに迷い込んだの
空想と現実が交わりもつれ
こんがらがって
もはや不思議とも思わない

奇跡に近づく

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手作りマスクとアマビエの絵

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 会社は自宅待機で、マスクを作ったり、アマビエの絵を描いたり、読書と詩。の日々です。 最近読んだ本は、今村夏子さんの、木になった亜紗。(文藝春秋) 文章中のたったの一行が、心の琴線に触れ、嗚咽してしまいました。3篇とも衝撃的過ぎて、しばらくほかひとの読む本がかすれてしまったほど。 久世光彦さんの、「あの人」のこと(河出書房新社)を読みはじめました。懐かしいひとたちの裏話が聞けて、ほろほろします。 今村さんを読む前に、東野圭吾さんのクスノキの番人と、凪良ゆうさんの流浪の月、読みました。 あっ!という間に読んでしまうので、もったいない! 伊坂幸太郎くんの新刊はまだ出ない?20の短編のifはよかったな。 5月の連休頃には、ブログに詩を載せます。 詩の本 ココア共和国4月創刊号と5月号に詩が掲載されたので、良かったら読んでください。

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腕時計の役割 [物語詩]

てんとう虫3.jpg
腕時計の役割

腕時計をはずすと
肩の荷が軽くなった
羽が生えてきて
いつの間にか飛んでいた

町を見下ろし風を感じ
鳩と友だちになった
腕時計をはずして
はじめて
時間に解放されると知る

すっかり夕陽に染まった
町に降りてゆくと
時計は腕に

♪クルックーと飛び出す
鳩腕時計になっていた







※最近読んでいる本:わたしのすきなもの 福岡伸一 婦人之友社・和み癒されます。※久しぶりに見たてんとう虫。ドラマで4号が巨大化して笑えた!
大好きなパプリカ鳥獣戯画バージョンポチっと押して見てね。

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詩集「満月に手がとどきそう」      詩集「兎の散歩者」                                  
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