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歌うように [現代詩]

歌うように

歌うように歩めたなら
楽しいよね
風みたいに舞えたなら
うれしいよね
くるくる進んで
悲しいは袋にためて
パンッ!と鳴らして空中分解
悲しい先に楽しいが来るなら
喜びもひとしおだけれど
楽しいを探す道は遠い
遠回り道から
偶然近道になる日も

夢見ることは
見えなくてもやめられない
くうを掴んででも
前に進みたいと願う
歌うように舞うように

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旧式新式電車 [現代詩]

旧式新式電車

恐ろしく軋んだ音のする地下鉄が
ホームへ耳障りに入ってきた
旧式は間もなくおさらばする
最新の電車が現れたのだ

昔々の人々が
初めて汽車に乗ったとき
靴を脱いで裸足で乗り込み
靴を置いてきぼりにする
乗客の話を思い出した
先入観だらけで滑稽な仕草が
しばらく続いても
新しいものに馴染むまで
時間はそう掛からない

新式の電車に出会う日
また新たに人々を戸惑わせ
次第に慣れる日々が訪れてゆく
旧式が新式に覆いつくされ
新型の怖ささえ忘却の彼方へ
走り去ってゆく



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無花果 [現代詩]

無花果

無花果の干したのを持ち歩き
長い散歩に出る
困難で難解な迷い道も
いばらの絡まる草ボウボウも
どうにか足が前に出れば
進んで行ける

無花果を口にして
しばし
樹木の木陰で足を休める
息を吸い込み空を仰ぐ

フィトンチッド
森林の香りに
傷つけられた心も
おだやかになり
無花果に助けられ
世の中の長い散歩へ



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フタコブラクダ [物語詩]

フタコブラクダ

フタコブラクダの
コブに挟まれ
ゆらりゆらり進む砂漠は
淋しい狭間に滑稽な光景
月が砂漠を照らし
苦しくてもお道化た
不思議な感覚

生きていくには
フタコブラクダを胸に
飼っているといい
泣き笑い滑稽を繰り返すと
ほんの少し苦みを忘れる

砂漠を進むような重い日も
フニャラユラユラ
フタコブラクダのコブに挟まれ
ゆらゆら進むその滑稽さが
柔らかい笑みに変わってゆく




※ラクダって、見たり思い出すだけで、なんかユニークで可笑しい。
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ねこに会いたい [現代詩]

ねこに会いたい

ねこに会いたい
やわらかいふわふわに触りたい
身体は柔軟でも心は頑な
走るとまっしぐら
逆走は頭にない
ねこづめにやられると痛い
ツンデレのツンが多い

それでも
宝石みたいな
神秘の目を
やわらかな仕草を
ずっと眺めていたい

ねこに会いたい
言葉で伝わらない
何かが待っている


※今年ねこたちを6匹も見かけたので、小さな幸せ舞い降りました。
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静かな羽根 [物語詩]

静かな羽根

カンパネルラのことだから
天使の羽根を広げ
神様を手伝うために
天空を巡っているのだろう

地上には
ジョバンニとザネリでいっぱいだ
安らかに過ごしてよ
空に向かって伝えても
天使の役目を羽ばたかせ
飛び続けているんだね

白い羽根のような雪が降り
地面にも届くよ
滅多に降らないこの街にも
雪が降って一面優しくなる
白い羽根雪がふんわりきれい

天上には静かなカンパネルラが
いっぱいいるんだね
地上から天空へ向けて
ふわっと笑みを飛ばした




※お正月から信じられない出来事ばかり。心のケアをするお医者さんも派遣されて、少しでも心が和らぐことを願います。
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兎たち [物語詩]

兎たち

次々に柵を越え
飛び出していった兎たちは
密かな希望だ
柔らかでか弱く見えて
白も茶色も白黒も
走り出すとアスリートのよう
草食動物の持久力は
生きるためのたまもの

月の裏側に兎たちはたくさんいて
ひっそり先を見据え
準備を怠りなく積んでいる
いざというときに
クレーターを飛び超え
未来を走り出せるように

表側で餅をつく司令塔の兎が
地球の様子を伺いながら
優しい強さを広げようと



※兎年は終わりましたが、月の裏側にいていざという時、飛び跳ねて助けに行きます。

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青と白 [現代詩]

青と白

地下の階段を上がってゆくと
四角く切り取られた
みずみずしい青と白が現れた

夕べの低気圧が激しさを増し
上昇気流と化したあと
だんだん遠のいていった

今朝はみずみずしさが
青に溶け込んで
爽やかな清々しい空を
生み出していた

地上に出ると
青と白の
ボーダーシャツを着た
犬が散歩していた




※1月1日からの大変な日々が、心身ともに少しでも早く澄み渡った、青い空の時になりますように。
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 [現代詩]



月を語る
月と語る
月を歩くように
月と散歩する

月の字が並ぶと
柵にめぐらされた
はるかな時間を
遠目からみて
歩いているようだ
大昔からある自然の
夜空の星と月を
見上げるようにと
仕組まれた月時間

月は笑って夜空から
ならんで
散歩してくれる


※あけましておめでとうございます 久しぶりのブログです。今年もたくさん詩を書いてゆこうと思います。ブログはなかなか進みませんが…。今年もよろしくお願いします。 2023年12月に詩「空をほどいて」で土岐市文芸祭市長賞をいただきました。
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猫探偵 [物語詩]

猫探偵

茶房を通り過ぎる影を見て
飲みかけのミルクティーを置き
するりと行ってしまった
彼は探偵
トレンチコートに黒い山高帽
銀色のしましまが光る尻尾と
ピンと立つ繊細で透明なひげ
瞬く間に行ってしまった
猫探偵
主に猫探しを請け負う
猫のことは判るから百発百中
ただし
飼い主から逃れたい猫に会うと
逃がしてしまうのが難点
猫の心持ちが大事だなんて
探偵というより猫カウンセラー

今日も猫足を立てず
目に見えない相談
受けて立つ日々
優しき猫探偵



※にゃんにゃんにゃん2月22日猫の日。探偵ロマンス続編まだかなぁ。 *切り絵展 かみがみの森も素敵でした。なんば高島屋2月27日(月)までです。
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