三角屋根の下で [浮遊詩]
三角屋根の下で
三角屋根の下
夜空に指さす塔
花草葉を敷きつめた庭
クリスマストレインを飾る窓
暖かい仄かな灯り
ぽっと浮かんだ
雪の結晶の形をした
幸運の象徴を胸に
美しい空想を描く
未来羅針盤が
宇宙へ向わせようと
眠りの中から無限を拾い
けし粒ほどの僕達の
日課とも云うべき揺れ動く感情を
カプセルに詰め
宇宙へ放り投げる
大銀河は
磨きをかけた夢が
叶うための大いなる器を
用意して待っている
三角屋根の下から
夜の∞を見上げ
美しい空想を降らせて
夢に近づく
※ ∞=無限大 ※金曜日は、中之島のイルミネーション。日曜日は、少し早めのクリスマスパーティ!寒い中のあったかい行事は、心身ともにほかほか。みんな、ありがとう!
小さい光雲 [浮遊詩]
小さい光雲
それは突然やって来た
不運がつながる日々
このままずっと不便な毎日が
続くかとうんざりしていた時
小さいかわいらしい幸運が舞い込んだ
それは小さいかわいらしい光雲が
手の中にすっぽりおさまった時から
小さい幸運のため息をほうっとつき
新鮮な光景を輝く瞳で送る
固いヨロイをぬぎ捨て
ようやっと抜け出す
光雲を連れて
風に導かれ歩く
今度は誰かに手渡したくて
※光雲どこかに落ちてないかなぁ。 ちょっとした不運で、行こうと思っていた場所をやめたら、電車の故障で大渋滞だったと。小さい不幸中の幸いでした。 ※最近読んだ本:遠い野ばらの村 安房直子 筑摩書房 遠い昔に読んでいた事を思い出した!今の方が、深さを感じます。
羽根の行方 [浮遊詩]
羽根の行方
羽根が生えていた頃を忘れ
忘れんぼうになったとき
ひとはおとなになります
動植物と話せなくなったとき
引き返せない悲しみを背負って
羽根は消えてゆきます
振り返ると
おとなになっていました
※お気に入りの映像 : さわひらきさんの木馬たち←クリックすると見れます。 ※最近描いた絵 : 兎の空想。ティーポットバージョンもあり。
道端 [浮遊詩]
町と雲と三日月と [浮遊詩]
町と雲と三日月と
町と雲と三日月と
いちどに写した被写体に
切ない夜が吹きぬける
帰ろ
長くなった影に声を掛けられ
ゆらゆら歩いた帰り道
三日月はふるふるゆれて
またねと光る
あったかいもの飲もうね
影に伝えるとひょこん
一瞬うれしげに跳ねた
寒い日は寄り添って
町と雲と三日月と
光も影も
消えない虹 [浮遊詩]
消えない虹
二眼カメラに
虹の場面を詰めこんだ
さっきこの眼に焼き付けた
虹の架け橋だ
プリントアウトしたなら
七色がほどけてしまいそうで
画像の箱に仕舞い込み
そっと眺める
時間を動かさず
消えない虹のままで
※久しぶりに、くっきりとした虹が見られてうれしかったな。 ※先日ドラマのエキストラへ。主役の俳優さんの、一瞬でひとを魅了するオーラはすごい!
タグ:虹の架け橋
魔法使いの弟子 [浮遊詩]
魔法使いの弟子
杖をついたひげじいさんが
電車に乗っていた
降りて階段を上がる時
すたすたすたっと軽い足取り
杖なんていらないじゃないか
呆気にとられ口を開けて見ていると
ひげじいさんは
階段を上がりきった先で振り向き
口を動かして何か言った
電車のアナウンスでよく聞こえない
口のかたちが
“ま・ほ・う”と言ったようだった
ひげじいさんの後を追っていたなら
魔法使いの弟子になれただろうか
それともひげじいさん
最後の魔法だったのかな
大年寄りまで生きて
誰でも魔法が持てるなら
生きて生き続けて見てみたい
魔法使いの弟子でなく
最後に魔法の使える日まで
境界線のあいだ [浮遊詩]
中心 [浮遊詩]
中心
月が星の弟を連れて光り
電信柱が仲間と歌い
犬は隣の猫が夜の集会へ誘う
何にもない私は
あんたたちのお話を書くよ
今までの悲しみを
しおりみたいに時々はさんで
伝書鳩に頼んで
世界にばらまくよ
話をめいめい持ち寄って
世界の中心に集まり
花咲く笑い声を束ねる
白紙を重ねた日常を
想像力でうめると
果てしない砂丘も
世界の中心
ひとりではない
※最近読んだ本:山のトムさん 石井桃子 福音館文庫 ・人質の朗読会 小川洋子 中央公論新社 ・子どもの本の森へ 河合隼雄 長田宏 岩波書店