SSブログ

三角屋根の下で [浮遊詩]

イルミトナカイ.jpg
三角屋根の下で

三角屋根の下
夜空に指さす塔
花草葉を敷きつめた庭
クリスマストレインを飾る窓
暖かい仄かな灯り

ぽっと浮かんだ
雪の結晶の形をした
幸運の象徴を胸に
美しい空想を描く

未来羅針盤が
宇宙へ向わせようと
眠りの中から無限を拾い
けし粒ほどの僕達の
日課とも云うべき揺れ動く感情を
カプセルに詰め
宇宙へ放り投げる

大銀河は
磨きをかけた夢が
叶うための大いなる器を
用意して待っている

三角屋根の下から
夜の∞を見上げ
美しい空想を降らせて
夢に近づく






※ ∞=無限大                                                          ※金曜日は、中之島のイルミネーション。日曜日は、少し早めのクリスマスパーティ!寒い中のあったかい行事は、心身ともにほかほか。みんな、ありがとう!
nice!(38)  コメント(0) 
共通テーマ:

小さい光雲 [浮遊詩]

霧雨で消えそうな建物.jpg
小さい光雲

それは突然やって来た

不運がつながる日々
このままずっと不便な毎日が
続くかとうんざりしていた時
小さいかわいらしい幸運が舞い込んだ

それは小さいかわいらしい光雲が
手の中にすっぽりおさまった時から

小さい幸運のため息をほうっとつき
新鮮な光景を輝く瞳で送る
固いヨロイをぬぎ捨て
ようやっと抜け出す

光雲を連れて
風に導かれ歩く
今度は誰かに手渡したくて





ミニツリー.jpg
※光雲どこかに落ちてないかなぁ。                                        ちょっとした不運で、行こうと思っていた場所をやめたら、電車の故障で大渋滞だったと。小さい不幸中の幸いでした。                                                     ※最近読んだ本:遠い野ばらの村 安房直子 筑摩書房 遠い昔に読んでいた事を思い出した!今の方が、深さを感じます。
nice!(26)  コメント(0) 
共通テーマ:

羽根の行方 [浮遊詩]

兎の空想.jpg
羽根の行方

羽根が生えていた頃を忘れ
忘れんぼうになったとき
ひとはおとなになります

動植物と話せなくなったとき
引き返せない悲しみを背負って
羽根は消えてゆきます

振り返ると
おとなになっていました








※お気に入りの映像 : さわひらきさんの木馬たち←クリックすると見れます。             ※最近描いた絵 : 兎の空想。ティーポットバージョンもあり。
nice!(23)  コメント(2) 
共通テーマ:

道端 [浮遊詩]

道端

毎朝すれ違う
あどけない顔のひと
シマシマのシャツを着ていた
私はいつも水玉模様

ある朝
タテジマを着て歩いてみると
世界は直線で出来ている気がした
曲がりたい角を曲がれず困り果てる

その時
青いシャツのひとが
手をひいて曲がってくれたのだ
薄荷水に似た懐かしいさわやかさ
シマシマのひとだ!
そういえば
いつも真っ直ぐ歩いていた

ことばを交わさなくても通じる
道端の日常のさなかに





馬をひくひと.jpg
※最近読んだ本:うたの動物記 小池光 日本経済新聞出版社 動物の、俳句、短歌、詩、童謡などを交えて語る、素晴らしくて大好きなエッセイ。

うたの動物記

nice!(31)  コメント(2) 
共通テーマ:

町と雲と三日月と [浮遊詩]

三日月.jpg
町と雲と三日月と

町と雲と三日月と
いちどに写した被写体に
切ない夜が吹きぬける

帰ろ
長くなった影に声を掛けられ
ゆらゆら歩いた帰り道
三日月はふるふるゆれて
またねと光る

あったかいもの飲もうね
影に伝えるとひょこん
一瞬うれしげに跳ねた

寒い日は寄り添って
町と雲と三日月と
光も影も








nice!(24)  コメント(0) 
共通テーマ:

消えない虹 [浮遊詩]

虹の場面.jpg
消えない虹

二眼カメラに
虹の場面を詰めこんだ
さっきこの眼に焼き付けた
虹の架け橋だ

プリントアウトしたなら
七色がほどけてしまいそうで

画像の箱に仕舞い込み
そっと眺める

時間を動かさず
消えない虹のままで





※久しぶりに、くっきりとした虹が見られてうれしかったな。                         ※先日ドラマのエキストラへ。主役の俳優さんの、一瞬でひとを魅了するオーラはすごい!
タグ:虹の架け橋
nice!(41)  コメント(2) 
共通テーマ:

魔法使いの弟子 [浮遊詩]

虹の魔法.jpg
魔法使いの弟子

杖をついたひげじいさんが
電車に乗っていた
降りて階段を上がる時
すたすたすたっと軽い足取り
杖なんていらないじゃないか
呆気にとられ口を開けて見ていると
ひげじいさんは
階段を上がりきった先で振り向き
口を動かして何か言った
電車のアナウンスでよく聞こえない
口のかたちが
“ま・ほ・う”と言ったようだった

ひげじいさんの後を追っていたなら
魔法使いの弟子になれただろうか
それともひげじいさん
最後の魔法だったのかな

大年寄りまで生きて
誰でも魔法が持てるなら
生きて生き続けて見てみたい
魔法使いの弟子でなく
最後に魔法の使える日まで




nice!(32)  コメント(0) 
共通テーマ:

境界線のあいだ [浮遊詩]

境界線のあいだ

しょぼ降る雨の日
目の前を黒猫が歩いていた
振り向き振り向き
ついて来いとでもいう仕草
町を歩き住宅街を歩き
路地裏のさらに
狭い細い猫道に来た
ここを通れと?
傘をたたんでも入れやしない

ふいに
猫になった自分の姿が
垣根を跳び越え
ひらりと消えた

あの境界線を通ったなら
本物の猫になってしまうだろう
細かい雨が霧状になり
まわりがさらさら消えていく

猫になる道もありかな
行ってしまった黒猫
白い霧状の
境界線の辺りを
じっと眺める

・・・にゃーん
半分黒猫.jpg





nice!(39)  コメント(2) 
共通テーマ:

中心 [浮遊詩]

フワフワ犬.jpg
中心

月が星の弟を連れて光り
電信柱が仲間と歌い
犬は隣の猫が夜の集会へ誘う

何にもない私は
あんたたちのお話を書くよ
今までの悲しみを
しおりみたいに時々はさんで
伝書鳩に頼んで
世界にばらまくよ

話をめいめい持ち寄って
世界の中心に集まり
花咲く笑い声を束ねる

白紙を重ねた日常を
想像力でうめると
果てしない砂丘も
世界の中心

ひとりではない



※最近読んだ本:山のトムさん 石井桃子 福音館文庫 ・人質の朗読会 小川洋子 中央公論新社  ・子どもの本の森へ 河合隼雄 長田宏 岩波書店
nice!(41)  コメント(0) 
共通テーマ:

椋鳥 [浮遊詩]

椋鳥.jpg
椋鳥

草むらから飛び出てムクドリ
ぐるりぐるり辺りを回り
まるでゼンマイ仕掛け

街にあふれたムクドリたちと
だるまさんが転んだになった
振り向くとピタリ歩を止め
歩き出すとついて来る
そしてムクドリたちは突然
バッ!といっせいに飛び立って行った

心の草むらに
切ないだるまさんが転んだ

夕日色に似た
くちばしが鳴いて遠のくムクドリ.jpg





※最近読んだ本:月の街山の街 イ・チョルファン 草なぎ剛訳 ワニブックス

nice!(35)  コメント(0) 
共通テーマ:
詩集「満月に手がとどきそう」      詩集「兎の散歩者」                                  
このブログに掲載している詩・絵・写真の無断転用・使用を禁止いたします

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。