あめあめ [浮遊詩]
あめあめ
あめあめ
ほろりん
つぶやくあめ
あめあめ
はらりん
かたるあめ
あめあめ
はらはら
はじけて
にぎやか
はらほろりん
と
ほどけてほぐれて
いきてるにおい
みずいろただよう
あしたのにおい
ことり [浮遊詩]
ことり
ことり
と音がした
ピチュピチュ鳴く
ことりでなく
しんと
静まりかえった
ひとりの時しか
聞こえない物音
ことり
きみだったか
小鳥
一足飛びで
床板を鳴らす音
ことり
鳴き声でなく
羽音でもなく
ほそい足音が奏でる
空から床へ降り立つ音色
ことり
ひとりで
なくなった
※六月の日曜日、千早赤阪村の棚田へ。緑がいきいきとしていました。 ※先週、周防監督のエキストラへ行って来ました。ことりのようにかわいい、あったかな方です。 ※最近読んだ本:プラチナデータ 東野圭吾 幻冬舎文庫
魔法の杖 [浮遊詩]
魔法の杖
いなくなった小鳥は
心の片隅に尾を引く
あの小鳥はどうしたろう
記憶に寄っかかりながら
頬杖は自然と
時をゆるやかにする魔法の杖
誰もが持つ形のない魔力を
心の隅に立てかけ
頬杖が自然に連れてくるとき
記憶が語りはじめる
いなくなった小鳥はもはや
物語の中に存在する
※最近読んだ本:残り全部バケーション 伊坂幸太郎 集英社 ・楽しかった、考えさせられた、笑えた、面白かった!
タグ:イルミネーション
ブールドネージュの風 [浮遊詩]
ブールドネージュの風
ブールドネージュは
白い雪玉の形をした菓子
微風に揺れる綿ぼうし
風に舞うスカートのように
甘くふわんとしている
ふくらんだほおからさっくり
口の中で溶けてゆく
浮かんでしまうかも
と、ほんの少し浮いていた
白い雪がほんとうに
降ってきたから
ブールドネージュは
ときどき
口にほおりこみたくなる雪
風になりたいとき
空になりたいとき
白い夢になりたいときに
箱 [浮遊詩]
箱
複雑なからくりが詰まった
三角の箱には
森も畑も農場も入っている
からくりの正体は
三角の野菜のキッシュだ
焼きたての湯気に癒され
食物から心身が形作られていく
お腹が満たされると
時の流れの中
ほんわり
記憶時計の奥へ入っていた
ゼンマイもネジも歯車も
回りまわって
過去現在未来を動かし続けている
続けることが何よりも大事
記憶の箱がふくらむ
移り変わる
日々に彩りを添え
四角張った顔など忘れて
丸いふっくらした笑顔を
びっくり箱から
そら、飛び出した!
※宮澤賢治のグスコーブドリの伝記が、ますむらひろし猫で7/7アニメ映画に!楽しみだにゃーん。
妖精 [浮遊詩]
妖精
透明な歌声を耳にすると
妖精がふわっと
音楽の中から生まれた感覚
無意識のうちに
妖精を見ている
開かれた扉
幼少期のしっぽを
まだ忘れずにいる
青い霧の向こう
透明のかなたに
夢見心地が浮かんでいる
音楽を通して
記憶が研ぎ澄まされてゆく
※大阪城の梅林へ、写真を撮りにいきました。人なつっこい猫ちゃんがいて、なでなでしてきました。
足音を鳴らして [浮遊詩]
足音を鳴らして
ファンタジーが
足音を鳴らしてやって来る
部屋にも引き出しの中にも
開けて入って来る
透明な感覚
小びとの姿
浮かぶ呪文
記憶に繋がる伝説
黄金のゆりかご
異次元は
背中合わせの地図
鏡の中の鏡
時に双子のように
瞳の裏に魔法
不思議をふしぎと思わず
自然に受け入れ
苦しみを通り越し
現の密やかな救世主
ファンタジーが
足音を鳴らしてやって来る
※三重二見の賓日館の雛人形は、凄い数で圧倒されました。いろんなお顔が見れて、楽しかった。季節の行事はいいものですね。
タグ:おひなさま
白鳥 [浮遊詩]
白鳥
雪山の上に
白鳥の形の雲
湖を泳ぐように
すーっと浮いている
まつげの上に雪が舞い降り
ほぉっと白い息
ふわふわ雪空のかなたへ
冷たい風に吹かれて凍る
凍った白息は冷たい氷菓
白鳥雲がくちばしでつつく
白い雪の幕が上がり
光りはじめた雪山の頂上
白いチュチュをふるわせ
最後の粉雪を散らして舞う
白鳥雲の羽ばたき
※最近見た映画: ヒューゴの不思議な発明 ・近代パリの空の下、ファンタジーがねじを巻く。素敵な夢の世界でした。 ※今城塚古墳へ行って来ました。はにわの行列!古代の古墳の上!晴れた日は、うきうきピクニックになります。
渡り鳥 [浮遊詩]
渡り鳥
キィーキー渡り鳥
カメラを構えた指を
パチン!とついばんだ
痛っ!と言っても
本当はちっとも痛くなかった
びっくりしただけ
驚くと声が出るのだ
ヒッチコック映画の鳥のように
頭上に羽根を広げ群がる鳥は
ちょっと恐く感じる光景だった
まるで映画の中にいる
車へ戻ると
1羽が車の上に乗っていた
―連れて帰るよっ
声を出すと
バサバサッ!遠のいて行った
飼われるのは嫌らしい
野生に出っくわすと
なごみが降りて来て
物語も自然に降り立ち
誰かをなごませたいと思うのだ
野生のなかの一員として
※今日、朝日放送ラジオで、昔書いたJOMO童話、月とホタルが朗読されてる!と、ゆきねこさんより連絡もらいました。今でもラジオで流してもらえるなんて、幸せです。前もって局から連絡下さると、もっとうれしいです。(朗読は清水ミチコさん!)