月の電灯 [物語詩]
月の電灯
真夜中の電灯だな
満月
午前零時の豆電球だな
光る月
夢枕も照らしているな
星々は影薄く
月はこうこうと屋根を照らし
夜回りの犬公も猫足も
そろりと眠りに就く
静かな月光音が金色に鳴り
月の電灯がゆっくりと
光の放射を降らせ
柔らかいまなざしで
眠らせにくる
※今日の夜空。双眼鏡で土星と木星、ガリレオ衛星4つ見ました。夜の空に現実に光って見えている不思議。月から地球を見てみたい。
ものをかく [現代詩]
ものをかく
ものをかく
そのときは
おだやかな場所にいられる
ということだ
文や絵の中に
ひっそりと
身を隠すこともあれば
無意識が
言葉をくるんで
自然にあふれるときも
長々と吠えたてる
おびえた目の
けものじみた日々はやめて
ものをかく
※最近気に入ってる絵本:クネクネさんのいちにち きょうはパーティーのひ 福音館書店
糸をたぐる [現代詩]
糸をたぐる
電車の片隅で
読書に身を傾ける
顔を上げると
一瞬
どこにいるのか
分からなくなった
本の中に潜んでいたのだ
辺りを眺め
降りる駅に着き
ああそうだったと
夢中の
見えないくもの糸に
絡め取られ
幾筋もの糸を
近くにたぐり寄せた
本の逃避行から
だんだん
現実へと戻ってゆく
新しい
たたかいに
挑むように
※パプリカの鳥獣戯画バージョン動画が素晴らしい!NHK鳥獣戯画で検索して見て下さい。
貝殻らせん [物語詩]
貝殻らせん
巻き貝のらせんを
降りてゆくと海
水平線が見える時もあれば
海中に揺らめき
あぶくを吐く魚の日もある
らせんを上ることはない
いつも下へ降り続けて別世界
異次元へゆきたいわけではない
現実から離れようとすれば
そこへ繋がるだけだ
戻るときは目覚めと同じ唐突
ぱちん!とはじけたあぶくが
夢のように消え去り幻となる
いつか
水脈を発見するような
時空を超えた場所へ
たどり着ければ
貝殻らせんの意味を知る
※NHK猫も杓子も。の、ますむらひろしさんは、別空間の流れの中にいるようだった。ヒデヨシ、出て来て!