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たねとかえる [物語詩]

木々2.jpg
たねとかえる

ヴェランダで空気の流れを
スコップで掘っていたら
突然ぴょこんと青いかえるがやって来て
細長い種を置いて行った
手のひらで転がすと
むくっとたねから芽が起き出して
ーおはよう!といった
ーあ、おはよ。
芽の出たたねは
土だけ入った植木鉢に飛び込み
ああ、いい湯加減といった顔つきに見えた

私はスコップを持ったまま
ぼう然となり宙ぶらりんな心のまま
植木鉢の芽を見つめる
何もしなくても成長する子どもみたいに
ただ眺めることしか出来ない
ーあら、二酸化炭素もらってるわよ。
芽は伸びて小ぶりな木にまで生長していた

そして新鮮な酸素あげるわ
といってさわさわ葉を揺らし
ここに来たなれそめを話してくれた
ーかえるに、都会へ行きたいといったの。
都会にきれいな空気をあげたかったのよ。
ここあんまりじゃない。
ーはあ、すいません。

かえると住んでいた緑の木々の原は
まるで桃源郷のように素晴らしいらしく
たねの実がなり子孫が生まれたら
桃源郷へ連れて行って!とお願いした
ーそれもいいけど。
ここに帰ることが出来ないのよ。
そしてね、ワタシがここへ来た以上、
緑を増やして、ここを桃源郷にするつもり。
あなた、どっちがいい?
ここを手伝うか、
はじめからある場所へ向かうか。

もう答えは決まっている木々.jpg


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