鳩の郵便 [物語詩]
鳩の郵便
鳩の羽毛に川風をはさんで
届けてもらった
身動きできない砂漠眼に
警報の鐘が鳴っていたから
乾いたものたちに
そっと伝えられている便
鳩の郵便をサソリたちに
知れてしまった
かれらはワサワサワサと
鳩を取り囲んだ
川風の郵便だけでなく
川の出来事を聞きたいと
サソリたちにとって
鳩の話は砂漠のオアシスに
なっていた
鳩は子を産み
卵の頃から
郵便の話をして
受け継がれる川風
やがて
ほうぼうに散らばった鳩たちは
いろいろな虫たち小動物たちにも
川風の郵便が伝わり
いつか砂漠は
砂漠でなくなる
コメント 0