森の灯り

森の中をさまよい
暗くなり始めると
月がこうこうと光り
湿った森の陰で
きのこのランプが
ぽちっとつけられた

ツキアカリダケですね
リス博士が木の上から教えてくれた
お礼にくるみ入りのパンを
木の枝にのせて
ふたりで木の上と下で食べた

あんまり暗くなると
帰れなくなるから
月ときのこのランプを
もう一度ゆっくり愛でると
町の灯りに向かって歩いた

森は夜中も
動植鉱物が育つ博物館
生きた記録がきざまれ
空の下で凛とたたずみ

繋がる世界を仄かに灯す






※最近読んだ本 : ・すべて真夜中の恋人たち 川上未映子 講談社  ・麒麟の翼 東野圭吾 講談社
・言葉の標本 小川洋子 文藝春秋  ・太陽の黄金の林檎 レイ・ブラッドベリ 早川書房