熊の声 [物語詩]
熊の声
白い列車に熊が乗っていた
熊は首をかしげてほほえんだ
川が近づいていた
列車は橋を渡る時
少し速度がゆるやかになった
車窓から熊は足を出し顔を出し
あっ!と川へ飛び込んだ!
“おいしい魚がいるんだ”
耳鳴りに混じって熊の声が聞こえ
じゃぷーん!
列車の乗客は音を聞きつけ
何事かと窓から川を眺めたが
あとの祭
熊は茶色い耳をぽっちり見せたあと
波紋は静かになり姿も消えていった
列車は橋を渡りカーブを曲がり
町を通り越して見えなくなった
熊は今ごろおいしい魚に
ありついていることだろう
雲の僕は
川から山へゆっくり進み
だんだん赤らんで
夕方が近づいていることを知る
※最近読んだ本: そうはいかない 佐野洋子 小学館 ・一度、和装でお見かけしたことがある。 天国でも着物着られてるのかなぁ。猫を飼って。
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