樹皮の手帳 [物語詩]
樹皮の手帳
懐中時計をベルトに提げた旅行者が
リュックを背負って前を歩いていた
すると突然リュックがぱかっと開き
あふれだす!あふれだす
エゾリス、ミミズク、ネムリネズミ
ナキウサギ、マレーグマ、ユニコーン
受けとめようと手を出すと
はっ、と我に返った
手にしていたのは
使い込まれた樹皮の手帳
ぱらぱらとめくれたページに
動物の物語がぎっしりと書き込んであった
ーすいません!
とリュックの旅行者が振り向いた
あわてた白ウサギみたいで笑ってしまった
樹皮の手帳を返しながら
ーお話があふれてますね
ーこれから山、森、泉とお話の種探しです
帰って来たら近くの噴水公園で
物語を読ませてもらう約束をして
白ウサギは物語の向こうへ
跳ねて行った
2010-05-21 07:00
nice!(1)
コメント(0)
コメント 0