時代を連れてくる [物語詩]
時代を連れてくる
書類に目を通していると
文が落ちた
ーこの度、時左衛門は
開眼いたした。旅に出ます。ー
まるで武士から貰った手紙だ
江戸番地に古地図入りの
返事を出しておいた
侍の知り合いはいないが
ひいじいちゃんなら
先祖に武士の友がいた
彼らは遠い昔天へ旅立ったが
じいちゃんは未だに語り出す
只者ではなかったと
名は覚えてはいなかったが
♪ピンポーン
玄関の扉を開けると
時間を操るタイムキーパー
と名乗る男が立っていた
ー蒲公英家の時左衛門氏に
文を有難う御座いますー
と自家製たんぽぽのお酒を持ってきた
彼はその場でさらさらと透明になり
瞬く間に消え去ってしまった
夜更けに夢を見たのだと思ったが
たんぽぽのお酒はちゃんと居間にあった
時代物のお酒を一杯やりながら
江戸のたんぽぽは
どんなかたちだったのだろうと
思いを馳せる
セイヨウと和の
たんぽぽの大小さえ違うのだ
時代は太古から
ずいぶん変わっているだろう
たんぽぽのお酒が頭の中で
時代をめぐる旅を連れてくる
※ゴールデンスランバーの試写会へ行ってきました。最高に面白かった!笑って泣いて…みんなも見てね!
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