七つめの部屋

六つめの部屋までは何も変わらない
七つめに入った途端事件が起きた

扉を開けると一面の空と庭園
二足歩行で近づいて来る
タキシード犬にあいさつされ
「初扉?」「あ、はい」
浮遊した合言葉みたいなコトバを交わす
気づくとぼくもタキシードを着ていた
庭園でお茶会があるという
少しうれしくて尻尾を振った
え?いつのまに生えた!?
思わず庭の池に顔を映す
まだ人間だ

タキシード犬が見えなくなり
キョロついていると
「珍しいね尻尾の生えたヒトなんて」
タキシード姿の男猫だ
「初扉なんです」
「そう、じゃ紹介するよ」

猫氏はヒョウ兄弟や穴熊親子
牡鹿氏に白兎嬢、カエル画伯
様々な知人を紹介し語り合い笑い
お茶を飲み楽しくて
切なくて
これはきっと夢なんだ
と思ったとたん
パタン!
七つめの部屋の扉は閉じられた
「残念です」
遠くから微かなため息が聞こえて消えた

図書館の蔵書庫の奥にある
七つめの古い扉の前に立っていた
図書館の七不思議を探りに来ていた
動物の話声がすると噂の
七つめの部屋の扉は
押しても引いても
もう二度と開くことはなかった

扉から遠く離れ
名残惜しげに振り向くと
かたんぱたん!
七つめの部屋に
ねずみがチューチューにこにこ
入って消えた





※ストロベリーナイト、すごい!謎の扉の鍵がカチリ、少しずつ解決に向かって開かれていく。      登場人物それぞれの会話もいい。今日はじめて真剣に見ました。恐いの苦手なのに。