訪問

やわらかい流れの川べり
家鴨の住み家が片隅に建っていた

水小屋の中を覗くと誰もいない
小屋の奥へそっと入っていくと
居心地のよいソファにクッション
窓にカーテン暖炉まである
壁には家鴨の肖像画が掛っている
カチャ
奥の戸から入ってきたのは
家鴨の奥さんだ
ーようこそこんにちは
お盆に紅茶とクッキー
ー何のお構いも出来ませんで
お客さんの訪問は久しぶりらしく
家鴨の奥さんはとってもうれしそうだ
ひとしきりおしゃべりを聞いたあと
腰を上げる
ーまたいらして下さいね
水小屋から外へ出て
しばらくたたずんでいると
グワッグワッ
家鴨のご主人が帰って来た
こちらを向きほんの少し
頭を下げた気がした

気まぐれな訪問
いったい何に見えたのだろう