頭の中のトランク [現代詩]
頭の中のトランク
遠くの雑踏が擦れ合い
辺りに満ちていると思ったのだが
それは耳の奥にある頭の中の騒がしい音
常に響き整列もせず
収まりの利かない
挿話がひしめき合っている
耳からシュルンと糸のように
ひっぱり出すと
小さな詩がころろんと
転がり出た
あめだま
こころがうるん
ふくれてぷつん
しめったなきがおに
あめだまひとつ
ほら
あめだまごと
わらった
あまいひだまり
そうやって
ぽつりするり
詩が生まれては消え
空っぽにした闇にまた
ひしめき合う現実と
わずかな空想の滴を落とし
詰め込む
頭の中のトランク
コメント 0