渇いた砂 [現代詩]
渇いた砂
物凄く風の強い突風の日
海を見に砂浜へ立ったものだから
ポケットにまで砂が入っていた
砂嵐がそこいらじゅうを砂色に変えて
ぐるぐるざらざら舞っている
髪の毛はぐりんぐりんに巻かれ
ごうごう唸る海の上に
不思議と雨はやって来ない
くっきり晴れた砂嵐の中に
砂の精霊が紛れている
その場に立っているのがやっとで
車窓内から翠がかった海の色を
眺めることにした
砂の精霊は砂埃の悪戯が出来ずに
不満そうにガラスを叩き
形を変えて積っていく
渇いた海辺に数羽の鳥が
羽ばたかずとも
広げた羽根で飛び
突風の中遊んでいるようにも見える
渇いたものたちに
カラリと一蹴されたみたいだ
もと来た場所へかえろう
ポケットの砂を海に返して
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