宝の地図

駅のホームで猫の鳴き声が聞こえた
空耳だったか?
にゃー、かすかに声がする
じっと集中して耳をすますと
目の前にうっすら浮かんでいたのは
猫の鳴きまねをするウミネコだ
そして後ろに浮いていたのは
やっぱり!どんぐりまなこのきじねこ
ーともだち?
ウミネコに聞くと
ーそうだよ。さっき会ったばかりだけどね
きみに伝えたいことがあるんだって
急に浮いた猫が駅にいるとびっくりするからと
ウミネコにたのんだらしい
きみでもおどろいたけどね
ー何で駅のホームに?
ー道だと立ち止まらないだろ
ーホームできみらと話してると変だよ
ー大丈夫。いまきみも消えているから
ーえ?
透明人間になったのははじめてだ
透けている自分におどろいた
ーにゃー、ボクの伝えたいのは、世界は宝の地図と
同じだってきみが教えてくれたんだよ。も少しゆっくり
歩いて、いろんなタカラモノにであいなよ
はっとした
ーありがとう、ありがとう。でもどうして?
ーこねこのとき死にかけてたんだ
きみが、ミルクとドーナツを置いて
「宝の地図が見つかってよかったね」って
ーあー、あの時のどんぐりまなこちゃん!
ー宝の地図消さないでね
ウミネコもウンウンうなずく
そしてどんどん消えはじめた
ーまって!こんどいつ?
ー願えばいつでも
ーえ!

「どうしました?」
はっとする
もう透明人間ではないらしい
ふり返るとびっくりした
きじねこそっくりな
どんぐりまなこをした車掌さんが
立っていたからだ

これも宝の地図のはじまり?