黄砂 [現代詩]
黄砂
町がくぐもって見えたのは
曇り空とは違った
突風が砂丘の黄色い砂を
辺り一面に
撒き散らしていたのだ
枯れた町に見え
すさんだ灯が点り
人の姿もかき消され
夢想にふけるときの
感覚に似ていたが
黄砂は町をのみ込む
次の日
みごとなほど
砂の惑星に見えた町が
消えていた
普段と変わらない
素朴な町に戻ったのだ
なのに
何かが違う
異質な鉱物が落ちてきたような
超植物が種を飛ばすような
夢想にふける間もなく
振り向くと
物語でしか
知らない飛行石が
黄砂の残上に
息をしていた
※ガリバー旅行記第三篇の、空飛ぶ島ラピュータに飛行石はある。そこから飛んで来た?
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