古本 [現代詩]
古本
かさかさ乾いたしみと
活版活字の重い凹み
年代物にして本物の古本
蛇行する狭い古書町に書紙の匂い
喉の渇きを潤したいがごとく
読め読めとせき立てる蔵書のほこり
パピルスの進化果てることなく
やがて風化し土に還るであろう
その前に歴史を束ねた
黄ばみの頁をめくれと
古本は仁王立ち
道を挟んだ向こう側も気になる
風に頁を飛ばされるふりをして
パラパラと動きを見せる先代の古本
パフォーマンスに負けて
財布から紙幣とコインを摘まみ出すが
未だあれこれ悩むほど
膨大なボロをまとった書宝の山は
眩しいほどに濃密な異次元
過去に遡るも変化自在
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