気配

気配を消すことすら忘れ
書店の亡霊は
新刊の棚を眺める
天井を透り抜けて
二階のカフェへ行き
新しいページをめくるつもりだ

怖いことも忘れ
これ面白かったなと心の中で指をさす
青い顔をした亡霊は
仄かに明るくなって
新刊を透明にして手に取り
天井へ浮き上り消えた

書店員はレジの奥で
腰に手を当てやれやれと見上げる
「常連さんですか?」
指を上に向けると
書店員はぎょっとして目を丸くしたが
目尻にしわを寄せて微笑み
「いや、向こうの方が先
昔ここに洋館が建っていたんだ
先人がいるのも分るし長い目で見てるが
時々本に感想を挟んで戻すのが困る」

本の感想が知りたくて
二階のカフェに上がると
満席だった

亡霊の気配で





※本屋にいた時、若干の霊感で、気配を感じたことが。                    ※最近、久しぶりに虹を見ました!おおっと叫んで夢中で撮影。ふと隣を見ると、全然知らない人が、並んで写メ撮ってて、びっくりした。