記憶を紡ぐ

満員電車の透き間を抜けて
座席と座席の間から
おさなごと目が合った
とらのぬいぐるみを片手に
めずらしい動物でも見るように
どんぐりまなこで
じっとこっちを見ている

照れくさくてにっと笑うが
穴が空くほど見つめられると
めずらしい生きものになって
心でことばをかわす

記憶を紡ぎ続けるおさなごの
新たな記憶の一員に
なっているのも悪くない
育ちはじめたたましいの

記憶を紡ぐ
我もおさなごから





※海遊館のイルミネーションを見て来ました。大道芸人のパフォーマンスや、お土産やさんの海のフィギュアにも癒されました。                    ※詩は、阪急電車に乗っていたときのお話です。