山の間の行方

だんだん畑を駆け降りてゆくと
山と山の間で線路がつながり
単線電車が走って来た
ガタンゴトンガタンゴトン
しばし見とれそして手を振る
ゆっくり短い電車さえ
線路の上で時間が瞬き
山にのみ込まれて行った
木々はゆれ風が吹いている
耳と目で追いかけた
線路の行方

夕陽が落ちはじめ
だんだん畑を駆け上がり
振り向くと
いつか大人になっていた

記憶に折りたたまれた
だんだん畑を蘇らせ
今はもうここにない単線ごと

懐で温まる



※最近読んだ本:星を継ぐもの ジェイムズ・P・ホ―ガン 創元SF文庫 斬新な考えに圧倒されました。