飛行船の行方

ガラスの向こうは
たっぷり雨が降っていて
飛行船も見えない

多分きっと飛ばしてはいないのだが
見えないことが妙に悲しい
晴れた日しか幸福が訪れないみたいに

空をあおいでぼんやりする時を
まれに楽しむ風日もあるが
飛行船を見てしまったあとに
遭遇しないのがやり切れない雨雲

それでもきっと虹など出た日には
そんなことはすっかり忘れて
はしゃぎ出すのだろうけれど

雨はやまず灰色雲は低く
飛行船の行方を目の裏で追う