モリオのトランク [物語詩]
モリオのトランク
モリオのトランクには
音符がぎっしりと詰まっている
♪ハミングがあふれてる
奏でる音楽を耳にすると
心が自然に動きだす
カチリカチャリ
モリオは大きなトランクを開けて
音符を並べる
アコーディオンの軽やかな音の階段
リコーダーのヒューと鳴る穴ぽこの音階
オカリナのころんとした音色
今日はどんな音楽を奏でようか
太陽のまぶしい光も
月夜の静けさも
雨模様の冷たさも
森林さえずる鳥の喜びも
可愛い音楽
儚い音色
潤う音楽で表現できるのだ
―あっ、来た!
―モリオだ!
昔の紙芝居に集まるみたいに
モリオはトランクを開けて
♪音符を空へ羽ばたかせる
乾いた日々を
ぽわん
のどをうるおすように